Dセグメント、どれが魅力? Cクラス/3シリーズ/A4/ジュリアに試乗
公開 : 2018.07.31 19:40
完成度ではドイツ製4駆
最初にCクラスのステアリングを握った笹本編集長。アシグルマに関してメルセデス一辺倒で来たイメージの強い編集長が、現行Cクラスを買わなかったのか?
「ステアリングコラムの右側にあるシフトレバーが気に入らないというのが最大の理由だね。間違って触れるとニュートラルになってしまう。あとメルセデス以外のクルマに乗ってみたかったという気持ちもあった。結果的にはジャガーXEにしてものすごく満足しているよ」
それにしても今回のCクラスのフィーリングはいい。高速道路や街中を流している限り4駆であることを全く感知させず、しかし驚くほどサスペンションの懐が深い。
「コンフォートモードはフワフワして柔らかすぎるように感じられたけれど、スポーツモードにすると格段に良くなる。ロールは大きいけれど、ロールスピードがこちらの感覚に近いのでハンドリングも好印象だった。走行モードごとに車高までしっかり変化させているのが効いているね」
個人的には編集長が「柔らかすぎる」と表現したコンフォートモードのアシにトレンドが感じられた。
W205がデビューした2014年頃に輸入車のアシの硬すぎる時代が終わり、どのメーカーもストローク感のある角が取れたものになってきている。Dセグにエアサスを持ち込んだのもメルセデスが初ということもあり、そのドライブフィールは完全に1クラス上の高級車をドライブしている印象だ。
「でもアウディA4に乗り換えると、同じドイツ製の4駆という共通項がありながら印象が全然違う。ダイナミックモードを選んでツイスティな山道を走ったけどアシが引き締まっていて、ターンインでもほとんどロールせずに鋭く切り込んでいく。しかも切ったら切っただけちゃんと曲がる。A4クワトロのアシは相当良く仕上がっている」
ステアリングを切ると豹変したように曲がるけれど、切りはじめるまでは「絶対曲がらないぞ!」と宣言しているかのような直進安定性がアウディ伝統のテイストといえる。そしてもうひとつ、アウディといえば整然とした内外装の精度の高さを感じさせるデザインにも特徴がある。
「インテリアの質感の高さは今回の4台の中でも突出しているんじゃないかな。エクステリアではやっぱりヘッドランプのデザインが特徴的でかっこいい。先ほどCクラスをドライブした時には、これまでのメルセデスにはなかった魅力みたいなものを感じたけれど、でも個人的にはA4クワトロの方が全体にしっとりとしていてバランスがいい。18年型のCクラスと比べられなかったのが残念だね」
フルタイム4駆のクワトロでセダンのスタビリティの次元を高めたアウディは、年々4駆のネガティブなポイントを減らしつつある。今回のA4ではパワステのアシスト量が少なめにもかかわらず、ステアリングフィールが自然な感じに仕立てられている。
ただ今回のA4クワトロの価格はオプション装備を含めると約790万円にもなるので、やはりオプション込みで約680万円になるC200 4マティックに対してアドバンテージがあって当たり前といえるかもしれない。
自らのラインナップにハイブリッドを完全に取り込みつつ、ピュアEVや自動運転といった近未来のテーマに果敢に挑戦するメルセデス・ベンツとアウディ。彼らが生み出すDセグメントの現行モデルは、各々の伝統の集大成といえる完成度を誇っている。