セルジオ・マルキオンネ、何を残した? 功績/名言を回顧 英編集主任のコメントも
公開 : 2018.08.04 10:50
クロプリーが知るマルキオンネ 唯一無二の存在
マルキオンネは親しみやすさと冷静さを併せ持つリーダーだった。プライベートな会話での人間的な温かみと、質疑応答での彼が力強さとともに見せていた驚くべき冷静さを忘れないだろう。
彼がありきたりで型にはまった振る舞いをしようとしたことなど一度としてなかった。組織人としては信じられない。彼が残したものとは、長く続いた苦境からのフィアット、クライスラーとアルファ・ロメオの救済であり、大胆だが成功するとは思えないGMとの合併構想のもととなった、自動車業界におけるさらなる巨大合併が必要だとの信念、そして、なぜか常に誰よりも自信に満ち溢れていると感じさせたその変わらぬ印象だ。
彼の記者会見は非常に有益だったが、それはマルキオンネが即座に質問の意図を理解し、当意即妙ともいえる回答をしていたからだ。
時には驚くような場面に出くわすこともあった。彼はとりわけドイツ人の金融ジャーナリストと、彼らの財務や年金に関する面倒な質問を嫌っていたようで、大企業のトップとも思えない、マルキオンネ流の対応を見せていた。
仕事人間だったマルキオンネに、ようやくしばしの休息が与えられたのだと考えれば、少しは慰めになるだろう。一方で、彼の膨大な仕事量と、赤字体質の混乱のなかから創り上げた秩序を考えれば、マルキオンネが最後まで全速力で走り続けたことの恩恵を、多くが受けているに違いない。