Ferrari Classiche 蘇るキャヴァリーノ・ランパンテ アウトガレリア・ルーチェ企画展

2018.7.7-8.26

名古屋のアウトガレリア・ルーチェの新たな企画展は「Ferrari Classiche/フェラーリ・クラシケ」です。フェラーリ社がクラシック・モデルをサポートするため2006年に設立したもので、クラシケを取得した完全な車両を通してその真髄が紹介されます。

text:Kunio Okada(岡田邦雄)
photo:Makoto Hiroi(廣井 誠)

フェラーリという特別な存在

自動車史上、フェラーリは特別な存在だ。

その歴史は古く、エンツォ・フェラーリによって1929年に創立されたレース・チームであるスクーデリア・フェラーリに遡る。アルファ・ロメオのワークス・チームとして活動を始めた時には、すでにイタリア空軍の撃墜王バラッカに由来するキャバリーノ・ランパンテ(跳ね馬)をスクーデリア・フェラーリの紋章として採用していたので、その頃から、ミッレ・ミリアやグランプリで優勝を重ねるアルファ・ロメオのボンネットの左右にはその紋章が誇示されていた。

エンツォはモデナに工場を構え、独自にアルファ・ロメオのレーシングカーも開発したし、アルファ・ロメオ158という1500ccの小排気量のグランプリカーもエンツォの発案で、モデナで製作された。また、アルファ・ロメオと袂を分かってからすぐにアウトアヴィオ815というレーシングカーも独自に開発しており、815の場合はカタログまで用意されて生産の予定もあった。しかし、戦争によって、その計画は延期となった。

フェラーリ社の設立

戦争が終わると、50歳を目前にした壮年のエンツォは、かつてアルファ・ロメオ158を開発したジョアキーノ・コロンボを呼び寄せて、V型12気筒エンジンの開発を進めた。こうして初めてフェラーリと名乗るスポーツカーが完成した。それは、125と名乗ったが、1気筒あたりの排気量を表すしゃれたネーミングだった。スクーデリア・フェラーリの活動も再開されて、1947年5月11日にピアチェンツァで催されたレースにフェラーリ125Sはデビューした。その時はトップを走っていたがリタイヤに終わったのだが、2週間後にローマのカラカラで開催されたローマ・グランプリでフェラーリ125Sは見事に優勝を遂げた。ここからフェラーリの栄光の歴史は始まり、ルマン24時間レースやミッレ・ミリアなどのスポーツカー・レース、F1グランプリで多くの勝利を獲得し続けた。

フェラーリはしかし、エンツォというカリスマあってこそのフェラーリだった。だから、1988年にエンツォが逝去するとフェラーリの行く末が案じられたものだったが、まもなく、ルカ・コルデロ・ディ・モンテゼーモロがフェラーリの社長に就任すると、フェラーリの改革を推し進め、時代の先端をゆくスポーツカーメーカーとして蘇らせた。モンテゼーモロの采配で、フェラーリが未来に向けて発展していくための礎が作られてきた。エンツォの時代には過去を振り返ることなく邁進してきたフェラーリだったが、1997年にモンテゼーモロが中心となって、かつてフェラーリと名乗る最初の車が初優勝を遂げたローマを舞台に50周年を祝う、空前絶後の規模のフェラーリのイベントが催された。その際に最初のフェラーリである125が復元されて、50周年の記念イベント以降はあらためてフェラーリの栄光の歴史は重んじられるようになった。

フェラーリ・クラシケ誕生

最初のフェラーリたる125Sを復元した経験をもとに、フェラーリ社内にヒストリック・フェラーリのレストア部門『クラシケ』が設立され、フェラーリのオリジナルの姿を蘇らせ、継承できるようなハードとスピリットを整えた。今日、その鑑定にはエンツォの息子ピエロ・ラルディ・フェラーリも関わり、権威あるものとなっている。これまでの栄光の歴史があるからこそ、現在と未来のフェラーリがあるのだから、フェラーリ・クラシケの存在意義は大きい。

また、モンテゼーモロは、かつてのフォリセリエの伝統をも復活させ、SP1に始まるSPシリーズや、ビスポーク部門、そして288GTO/F40に始まるスペチアーレも定着させた功労者でもある。名古屋市名東区極楽にある自動車の文化をテーマにした「ギャラリーAuto Galleria LUCE」では、今回は、フェラーリのクラシケに焦点を当てた企画展が開催されている。マラネロのクラシケでレストアされて新車当時のコンディションが蘇った250GT TdFに加え、日本でクラシケ鑑定書を取得した4台が展示され、その真髄が紹介さている。

この企画展は8月26日まで開催されているので、フェラーリ・クラシケに興味がある方は一度ご覧いただくことをお勧めしたい。会場へのアクセス、開場時間などはアウトガレリア・ルーチェ・ホームページでご確認を。

http://www.luce-nagoya.jp/Top.html

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