5万ポンド以下で買える新車ベスト50 3位~1位
公開 : 2018.08.12 08:10
1位:アルピーヌA110
このランキングを終えるにあたり、ひとこと言わせてもらえれば、当初、最後の5台から最高の1台を決めるには、夜を徹した議論のあと、腕相撲でもする必要があると思っていた。
しかし、そんなことは必要なかった。ウェールズに集合する前から、常にA110は絶対的な優勝候補であり、当日起こったいかなる出来事も、結果に影響を与えることはなかったのだ。
皮肉にも、基本的にわれわれはレトロスタイルのモデルを歓迎していない。これまで、常にわれわれをワクワクさせたのは、新車当時には未来を見据えたクルマだった。レトロスタイルとは、相応しい未来を描くことのできないひとびとが、過去の栄光を利用するための手段でしかないと思っていた。
だが今回、クルマ好きになった理由と、これまでに失くしたものを思い起こさせてくれる、素晴らしいレトロスタイルのモデルが登場した。まさに、これは大胆にもマツダがMX-5でオリジナルのロータス・エランにオマージュを捧げたやり方であり、その30年後、アルピーヌが再びそれに続いたのだ。
A110の素晴らしさは、本当の意味で、偉大なスポーツカーとはどういうものかを理解しているという点にある。つまり、使い切ることのできないパフォーマンスのために、大型ブレーキと固められたサスペンションを装備し、その結果としてバネ下重量の増加を招いたり、まともなドライバーであれば、公道上では到底到達できないレベルのグリップのために、巨大なホイールとタイヤを履いたりはしていないということだ。
さらに、われわれが「駐車場マシン」と呼ぶようなクルマもある。つまり、動き出した瞬間から、まだ駐車場を出ていないにもかかわらず、何か特別なモデルを運転していると感じさせるようなモデルだ。ふざけている訳ではないが、こういったクルマの一見しなやかなサスペンションや、優れたステアリング、そして軽量コンパクトなボディを感じるのに、わざわざ遠くへ出かけたり、速く走らせる必要はない。
しかし、こうしたクルマのデザイナーが意図したような運転をしてみれば、実際の路上では、本物のスーパーカーではあり得ないような、余計なコントロールがドライビングの楽しさを奪っていることに気付くはずだ。こうした罠にはまることなく、そして、実用性を犠牲にすることなく、2019年に体験することのできる、最も純粋なドライビングをA110は味わわせてくれるだろう。さらに、このクルマは毎日乗ることも可能なほど静かで、快適でもあり、実世界においてはこれも重要な点だ。
どんなドライバーにとっても、A110は傑出したドライバーズカーであり、エントリーモデルの「ピュア」であれば、これほど素晴らしいモデルが5万ポンド(727万円)以下で手に入れることができるなど、幸運以外の何者でもない。