ロードテスト フェラーリ812スーパーファスト ★★★★★★★★☆☆
公開 : 2018.08.12 10:10 更新 : 2018.08.17 14:36
結論 ★★★★★★★★☆☆
「輝かしいエンジンとハンドリングの持ち主だが、GTの典型的な運動性の魅力には欠ける」
最新のフェラーリには激しい誇張が付きものだが、えてして、それが魅力を強めていたりする。
スポーツカーというニッチ商品のマーケットを舞台に、最速かつ最強で、最もエキサイティングな選択肢を生み出すというのがマラネロの公約だが、実際にわれわれはここ最近、センセーショナルなドライバーズカーをいくつも見せられており、ここにまたひとつ812スーパーファストという理屈抜きに記憶へ刻みつけられる暴れ馬が加わった。しかしそれが、ひとつの国を走破するようなドライブをするのに、直感的に選べるクルマではなかったのもまた事実だ。そんなときに選びたい相棒は他にいる。それが、このクルマをスーパーGTクラスの王座に就かせることはできない、とわれわれに考えさせた理由だ。
812のV12は魔的な魅力があり、驚くほど活発なシャシーをも暴君のごとく圧倒する。だが、その絶対的な馬力も、バランスよく安定して、苦のない長距離ドライブができないという欠点によって曇らされる。そのことは、おそらくフェラーリがクルマ造りにおいて、エゴに流されないよう努めるべきだということを示していると言えるだろう。
担当テスターのアドバイス
マット・ソーンダース
フェラーリの調査によれば、この手のクルマを日常遣いしようというユーザーの比率は、550マラネロでは36%、F12ベルリネッタでは54%だったという。このクルマでは、それがさらに高まりそうだ。
リチャード・レーン
スタイリングは完全にフェラーリ内製で、昆虫的でアグレッシブなデザインはラフェラーリに通じるものがある。それらは、ピニンファリーナの手が全く入っていないモデルだ。
オプション追加のアドバイス
たった6つのオプションを追加するだけで、支払金額は30万ポンドを突破する。その中には、6240ポンド(94万円)の専用ゴルフバッグなんてシロモノもあるので、アイテム選びはくれぐれも慎重に。アップル・カープレイに2400ポンド(36万円)という値付けはお笑い種だが、おそらく必需品となるだろう。
改善してほしいポイント
・カップタイヤの設定を急いでほしい。できるだけ早く。マイナーチェンジまでは待てない。
・ステアリングはもう少しだけスローに、もう少し重く、もう少しフィールを。
・サスペンションはもう少し凹凸をしなやかにいなし、路面の舗装や傾斜への反応を穏やかに。