マクラーレン・セナ シャシーナンバー001は特別 「納車記念の旅」に同行
公開 : 2018.08.19 08:10
アルティメットシリーズ MSOカスタマイズ
今回の旅の参加者は、それぞれの車両開発担当者と、ブルーノ・セナ、アイルトンの甥だ。
そしてわれわれAUTOCARチーム。もちろんわれわれは招かれざる客かも知れないが、この旅の顛末を見届けるためにここにいる。お決まりのおべっかなど言う必要はない。ただ前へと進み、彼らに混じって、そして考えるのだ。世界中のお金があったとして、こんなことをやるだろうか? セナを購入するだろうか? もし、これがテストなら、答案用紙には「検討中」と書くだろう。
さらに、われわれにはもうひとつ狙いがある。セナには以前サーキットで試乗を行っただけで、公道は未体験なのだ。もちろん、スケジュールはタイトで、コースのほとんどはオートルートであり、今回のようなロードトリップでは、マクラーレンが誇る最も過激な現代のハイパーカー、アルティメットシリーズのポテンシャルを見極めるのが難しいのはわかってはいるが、フランスをほぼ縦断する今回の長旅の間に、プロトタイプに乗るチャンスが巡って来るかも知れない。
アルティメットという名は伊達ではない。このアルティメットシリーズのセナは500台が生産され、そのあと75台のサーキット専用となるGTRが登場する予定だ。公道バージョンの基本価格は75万ポンド(1億905万円)だが、そのほとんどがMSO(マクラーレン・スペシャル・オペレーションズ)で最終仕上げを施されることになる。
一部のMSOパーツは、現在日産2台のペースでセナを生み出している生産ラインでも取り付けることができるが、例えばデビッド所有のシャシーナンバー001がまとうカラーリングのような、それ以上のカスタマイズは、一旦生産が完了したあとでの対応が必要となる。
001のカラーリングは印象的だ。ブルーとホワイトで塗られたこのクルマは、かつて同じようなカラーをまとったクルマたちの記憶を呼び起こす。ロスマンズ・ポルシェ、セナがドライブしたウィリアムズF1とBMW時代のウィリアムズ、恐らくマセラティMC12もそうだったし、それに、英国ラリー界が誇る偉大なローカルヒーロー、トニー・ポンドのメトロ6R4もそうだっただろうか?
いずれにせよ、マクラーレンでは、すべてのひとが喜んで対応したに違いない。まさにオーナーのお望みどおりだ。そして彼らは大胆なカスタマイズをほどこしているが、恐らくそれはセナのルックスのせいだろう。これは決して最高の芸術にさらに手を加えるようなものではない。だが、F40以降に登場した最も希少なフェラーリたちが一度として完ぺきな美を備えていたことはないし、それが問題になったこともなかったはずだ。