マクラーレン・セナ シャシーナンバー001は特別 「納車記念の旅」に同行
公開 : 2018.08.19 08:10
違いはエアロダイナミクス
しかし、その乗り心地は、十分許容範囲だと言える。3つのライドモードと、それにリンクしたマクラーレンのアルティメットとスーパーシリーズを象徴する油圧サスペンションシステムが搭載されているが、非常に複雑なために、わたしは毎回どうやって使うのかを確認する必要があった。
ライドハイトを一定にするための補助スプリングが搭載されているが、それ以外はすべて油圧スプリングと電制式ダンパーだ。マクラーレンのアルティメットシリーズ責任者であるアンディ・パーマーは、ハートフォードシャー大学機械工学部から授けられた学位を、わたしなど及びもしないくらい有効に活用しているが、公道セッティングに関してはわたしと同じ考えのようだ。彼はダンパーを最もソフトなセッティングにするとともに、パワートレインの出力を少し引き上げている。
エンジンも素晴らしい。このクルマが積むのは、7250rpmから800psを発揮する4.0ℓV8ツインターボであり、そのブーストは強烈だ。ドライバーがマニュアルを選択すれば、ギアシフトは素早く正確だが、パワートレインのセッティングを最も穏やかにして、オートモードを選択し、低回転域で走行していると、キャビンと、固められたリア、そして、パッドの薄いシートからは振動が伝わってくる。
何より素晴らしいのは、セナのステアリングはマクラーレンが一貫して守り続けている油圧式であり、フェラーリと同じロック・トゥ・ロック2回転のそのフィールが非常に自然なことだ。直進性には特筆すべきものがあるが、コーナーでもそれは変わらない。
残念ながら、今回のようなルートでは多くのコーナーを楽しめた訳ではない。それでも、高速への出入り口ですら、800kgものダウンフォースを発生させるこのクルマの安定性を味わうことができた。
まさにこのエアロダイナミクスこそが、サーキットにおけるセナの走りを、675LTといった他のマクラーレンとは異なるものにしているのだが、公道上では、単なる騒音のもとであり、このクルマの扱い辛さの原因でもある。
さらに、その違いは、サーキットと公道におけるそのスピードであり、停まっている時でさえ、インテリアの仕上げとその見た目がこのクルマを特別な存在にしている。