マクラーレン・セナ シャシーナンバー001は特別 「納車記念の旅」に同行

公開 : 2018.08.19 08:10

オーナーと開発チーム 特別な関係

これで充分だろうか? 確かに、セナは720Sに対して、例えばP1が12Cを相手に見せたような違いを作り出してはいない。それに、マクラーレンのモデルチェンジは早すぎるし、どれもが似通っているという批判も可能だろう。すべてがV8のターボ過給されたエンジンを積んだモデルは、どれも同じようだ。

シャシーナンバー001のセナのオーナーは、650S MSO HSも所有しているが、わたしはこのクルマの存在自体を忘れていた。わたしはパーマーとこの点について議論してみた。

スポーツシリーズは今後数年以内のモデルチェンジが予定されているそうだ。720Sは570Sとのパフォーマンスの違いを明確に示したばかりであり、電動化に向けた動きも始まっている。では、新たなエンジンラインナップというのは考えられるのだろうか? パーマーは何も明かしてはくれなかった。

結局、マクラーレンが作り出すのがどんなクルマであれ、そこには常にマクラーレン特有の完ぺきさが備わっているからこそ、セナを購入するために努力するようなひとびとは、それを簡単に手放したりはしないのだ。


彼らは百万ポンド(現実的な話をすれば、将来売却するときには、このお金も利子付きで帰ってくることになるだろう)を支払った。その結果が驚くべきスピードと信頼性をもつサーキットマシンであり、それ以上の喝さいだ。G-SHOCKを購入すると、取扱説明書に書かれた1文がこの時計のオーナーになったことを祝福してくれるが、セナをフランスまで運転すると、ひとびとはまるで月から帰って来たかのようにホテルの外で出迎えてくれる。

そのあと目にした、このマクラーレンだけを集めたサーキットイベントの参加者と、その主催者との関係は興味深いものだった。それはある意味、映画俳優へのインタビュー方法について語る映画評論家を思い起こさせた。インタビューする側とされる側がそこには必要だが、考えれば考えるほどその役割がハッキリしなくなるという。

そろそろ引き上げよう。わたし自身、ここで行われているような会話を楽しめたかどうか自信がないが、セナのようなモデルの登場は、誰かがこうした面倒を引き受けてくれたお陰なのだ。

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