ミドシップスポーツカー対決 エヴォーラ vs ケイマンS 回顧録

公開 : 2018.08.13 11:10  更新 : 2018.08.14 19:47

ロータスが送り出す2プラス2のエヴォーラの身のこなしは、クラスの王者に君臨するケイマンSを上回ります。しかし、完璧すぎる走りゆえドラマに欠けるほか、エンジンの官能性など総合的な魅力という点で、やはりケイマンにはかなわないという結論に至りました。

AUTOCAR JAPAN誌 75号

もくじ

驚くべき身のこなし
リアシートを持つエヴォーラ
エリーゼとの違いはフレーム構成
数値で見る両車の違い
キャビンの仕上げはポルシェ優位
官能的なポルシェのエンジン
完璧すぎてドラマに欠ける
総合的な魅力でケイマンSの勝利

驚くべき身のこなし

結論から先に述べてしまうと、結局のところポルシェケイマンSと新型ロータスエヴォーラの実力の違いを身をもって知るには、たったひとつコーナーを抜ければそれで十分であった。ロータスが全世界のマスコミに向けての発表会場として選んだ、ローモンド湖畔を1周するヒルクライムの連続する過酷なコースは、その意味では十分すぎてあまりあるコースだった。

試乗当日はあいにく雨が降っており、風もかなり強く、実に典型的なスコットランド特有の天気に見舞われた。われわれは早速2台のクルマに乗り込んで、ローモンド湖畔の外周に飛び出した。そしてまさに最初のコーナーに進入したときのことである。

たぶんそのとき、わたしはこの2台を並べて撮影するポイントがすぐに見つかるかどうか心配しており、運転に集中できていなかったのだろう。もしくはエヴォーラのほうがケイマンSよりはるかに敏捷なだけだったのかもしれない。とにかく最初のコーナーは3速か4速で抜ける右カーブで、その入り口には小さなバンプがあり、出口に向かって道幅が狭くなるというやっかいなものだった。

そのコーナーをエヴォーラの後ろからわたしはケイマンSに乗って追いかけていたのだが、エヴォーラは実にスムーズにターンインし、コーナー中央では徐々に外輪に荷重を移して優雅に向きを変え、実に見事にコーナーを抜けていった。わたしも同じスピードでケイマンSでコーナーに進入したのだが、まさに危機一髪でコーナー外側の土の壁に激突するところだったのだ。

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