比較テスト ジャガーXKR vs ポルシェ911 クラス王者の座は 回顧録
公開 : 2018.08.14 17:10 更新 : 2018.08.14 18:33
PDKはシフトショックも
PDKはステアリングのシフトスイッチで変速可能だが、その操作ロジックが一般的なパドルシフトとは異なるために慣れが必要であることを付け加えておこう。今回のテスト車はオプションの「スポーツクロノ・パック」を装備しており、究極のシフトチェンジを可能としたモデルであった。
ただしこの場合、ドライブラインから軽くドシンというショックが伝わってくるほどダイレクトなつながり方となることだけは、了承しておいたほうがいいだろう。それ以外のセッティングでは、このトランスミッションはオリンピックのリレー選手のようにエレガントな正確さで次のギアに切り替えを行う。唯一、Dレンジ、あるいはリバースに入れた瞬間の動作はそうとはいえないのだが。
かたやジャガーのドライブラインからは、ドシンという衝撃の類を感じる場面はほとんどない。それでいながら、ロータリー式のギアセレクターでスポーツモードを選ぶと、トランスミッションは狂騒的なまでの振る舞いを見せてくれる。
その状態では、トルクがもっとも高まるスイートポイントを追い求めるように、常に低いギアが保たれるようになる。サーキット走行会で哀れなカモを追いかけているか、あるいはほかのクルマのいない山道で自分のペースでドライビングを満喫できるとき以外は、この状態が続くとドライバーは疲れ果てて少々辟易してくるかもしれない。そんなときは、素晴らしいパドルシフトでトランスミッションとの対話を楽しめばいい。