比較テスト ジャガーXKR vs ポルシェ911 クラス王者の座は 回顧録
公開 : 2018.08.14 17:10 更新 : 2018.08.14 18:33
上品なGTではない
もちろん、ドライバーが疲れてしまうのはこのXKRの意図するところではないが、乗り心地に関しては必ずしも快適とはいえない。スタンダードモードでも、乗り心地はややゴツゴツした感じがして、ジャガーのクーペが35年来、提供してきた上品なGTの世界とは異質の乗り味だ。もっとしなやかな乗り心地のジャガーに慣れてきた人びとは、このXKRの振る舞いに驚くだろう。
だが、これによる犠牲は最小限にとどめられており、しばらくすれば、このXKRが1日に1000km走破しても少しも苦にならないクルマであると気づくはずである。ただしわたしの個人的なささやかな不満としては、フロントシートのクッションのせいで長距離を走ると足が痛くなったことを挙げておきたい。また、130km/h以上での風切り音が気になった。
それよりももっとうるさく感じられるのが911だ。こちらは1000kmの旅に出かけるのをためらうほどのレベルである。まずもってロードノイズは911の魅力をスポイルしている。粗いアスファルト路面でのタイヤノイズが、場合によっては落ち着かない乗り心地以上に気に障ってしまうのだ。
ただし、今回のテスト車はセラミックブレーキを装着していた関係でバネ下重量が軽く、そのおかげでわれわれが昨年ロードテストした911PDKに比べれば、乗り心地は多少ましであった。