現代車は個性に欠ける? 英AUTOCARが選ぶ、愛すべき個性的なクルマ9選 後編
公開 : 2018.08.19 06:10 更新 : 2021.03.05 21:43
アルピナB5ツーリング
リチャード・レーン
クルマの個性というのは、信頼性に関するざっくりとした考えや、魅力的なエンジンノイズ、引き込まれるボディライン以上の、何かが含まれていると思う。
個性はオーナーの愛情や信頼性を育んでくれるけれど、アウディR8 V10 プラスのエンジンノイズや、フェラーリ・ポルトフィーノのボディラインが、わたしの興奮を呼び起こす、というわけでもない。
みんなが憧れるようなスーパーカーは、とりわけ快適というわけでもなく、あえて誠実さとでもいうような側面を削っているから、好きになるには、それなりの努力がいる。人間と同じように。
それにR8は、並外れたエンジンを搭載したスポーツカーでありながら、スーパーカーになろうと努力しているように思える。ドラマチックなスタイリングのポルトフィーノは、地中海に浮かぶクルーザーと極めて俊敏なスポーツカーを組み合わせたようなクルマだが、その仕上がりは説得力には欠けている。何を目指したのだろうか。
同じことは、新しいフォルクスワーゲン・ポロGTIにもいえる。間違いなく、非常に速いけれど、度を超えてしまったコンパクトカーを買うひとは限られるだろう。アウディA7は、乗り心地が酷すぎるし、ポルシェ718ケイマンは、効率を求め過ぎたエンジンによって、自らを傷つけたようだ。
これらのクルマに共通することは、明確なコンセプトの欠如。確固とした目的を持ったクルマは、単純に魅力的なだけでなく、弱点に対しても前向きに捉えた仕上がりを得ているように思う。それが個性につながっているのではないだろうか。
アルピーヌA110のインテリアは上質とはいえないけれど、クルマとしては鳥の羽のように軽量に仕上がっている。ランボルギーニ・ウラカン・ペルフォマンテは、ベースモデルに手を加えて軽量になっているが、すべてのランボルギーニが特徴的なエンジンサウンドを奏でるし、それほど重要なモデルとはいえないことと対照的だ。
われわれがスコダ・イエティやフォルクスワーゲン・ゴルフが好きな理由はそこにあると思う。
そして、BMW M5以上に、アルピナB5ツーリングが柔軟なサスペンションのフィーリングを得ていることに気づいた時、そのコンセプトが本当に素晴らしいと感じるのだ。