知るひとぞ知る? クルマの窓ガラス交換競技会 世界大会に密着
公開 : 2018.09.01 08:40
手順や意思疎通も評価対象
2年ごとに各国の選手権を勝ち抜いたグループの技能者が国際的な大都市に集まり、ベスト・オブ・ベルロンの世界タイトルを競う。今年、サッカーのワールドカップはロシアで行われたようだが、ウインドスクリーン修理選手権はここフランクフルトで開催された。
実際にはウインドスクリーンだけでなく、リアやサイドのガラスも対象だ。ウインドスクリーンの交換で必要となる先進ドライバーアシストシステム(ADAS)のカメラの再校正も対象である。ふたり1組の審判員は各技能者がベルロンの手順を守っているかしっかりと観察する。競技者がないがしろにしがちな手順だ。
「わたしはプロセスに忠実に従っているかどうかを評価します」と審判員長のダレン・ハンターはいう。「例えば、ウインドスクリーンの交換だけで40の工程があります。さらに顧客の役割の審判員とうまく意思疎通ができるかも評価のポイントです」
技能者たちは、まっすぐ並んだマーキング・スペースの中で競い合う。それぞれに作業台と磨き上げたアウディA4が置いてある。わたしが会場に到着したのは競技2日目だった。この日は90分以内にクルマのフロントガラスを外し、新しいガラスをはめ込んで再調整しなければならない。時間をオーバーしたり、ベルロンの手順から外れたりするとポイントは減点される。
競技者は審判員から観察されるだけでなく、自国のベルロンの仲間からも見られているので、プレッシャーはとても大きい。フロントガラスが外されたり取りつけられたりする度に大きな歓声が上がる。応援の歓声が上がればあがるほどライバルたちはパニックになり、手順を間違えてポイントを失う。どう見てもこれは意図的だろう。