スクラップマニア、廃車にこだわるコレクター いったいなぜ? 後編
公開 : 2018.08.25 12:10 更新 : 2019.05.04 13:03
大量のCXを引き取る
デビュー直前のCXが1974年にお披露目されたとき、AUTOCARでは「先進技術への独自の傾倒」と称えた。さらに「シトロエン車はいずれも、時代の先をいく設計がなされている」とも。
だがあいにく、ディックのCXも時の流れには逆らえず、もはやここにしか居場所はないようにみえる。それでも、あえて言い寄ってくるひとがいるのだ。ディックによると、「破砕業者がやってきては処分してあげますよとお節介を言ってきますが、お引き取りいただいてますよ」とのことだ。「すぐれた技術のクルマですし、まだ直して走られられるものを捨てるなんて、考えられませんよ」
ディックとCXの蜜月は、1990年に買ったシリーズ1の7人乗りファミリアールからはじまった。その時点でさえ、新車からは9年がすぎていた。
「あれがはじめて乗ったCXでした」と彼は語る。「乗り心地は夢みたいによかったし、ブレーキも信じられないほど強力でした。技術の勝利だと思いましたね。ご多聞に漏れず、油圧配管は腐ってしまいました。でも銅ニッケル合金の配管に取りかえたので、もう永久に大丈夫だと思いますよ」