スクラップマニア、廃車にこだわるコレクター いったいなぜ? 後編
公開 : 2018.08.25 12:10 更新 : 2019.05.04 13:03
世界一のCXにめぐり会うまで
ただ、しぼんだタイヤもそのままに庭先に置きっぱなしで静かに土に還ろうとしているほかのクルマについては、そうはいえないようだ。ディックも、回路の交換は結果的に間違いだったという。「そこまでやってしまったので、もう離れられなくなってしまったんですよ」
それが残り15台のCXの運命をきめた。愛情のあまり、自分のCXを解体業者に持っていくどころか、解体場から何台か引き取ってきた。1台もらってくれないかという申し出があれば、それもふたつ返事で引き取った。彼も「もうCXの慈善施設みたいなものですよ」という。
このCXの山を処分するときがくるのかという問いに、ディックは短く答えた。「世界一のCXに巡りあえたときですね」
1987年登録のシトロエンCX 25オートマティックの、それも低走行の極上車が1万3440ポンド(190万円)で売りに出ているのだが、もし彼の近所の住人が知ったらどうなるだろう? 募金をつのってでも彼にプレゼントしようと、真剣に検討するのではなかろうか。