発表前に開発中止になった21台のクルマ 前編
公開 : 2018.08.26 06:10 更新 : 2021.03.05 21:43
フォード・スポーツカー(1995年)
フォードは1995年にGT90コンセプトを製作し、いまなおスーパーカー造りのノウハウを有していることを欧州のライバルたちに見せつけた。アメリカ製ランボルギーニといった風情のスタイリングは、かつて1960年代のル・マンでフェラーリを震え上がらせたGT40の後継車を示唆するものだ。ただ、このクーペの市販化計画は、まったく表に出てこなかった。というのも、フォードはコンセプトカーの域を出ることを望まなかったからだ。少ないながらも、ショールームに並んでしかるべきクルマだったのに。
GT90のプロジェクト・マネージャーを務めたフレッド・グッドニューは、彼ら開発ティームがこのクルマから多くを学んだと語る。フォードは、1998年にスポーツカーを開発する予定で、そこではGT90のコンポーネンツを活用することをほのめかした。そこでメディアは、これがコルベットとフェラーリのギャップを埋めるものになるだろうと、こぞって書きたてたのだが、フォードがマスタングを上回るスポーツモデルを発売したのは、自社の100周年事業の一環としてGTを限定生産した2004年のことだった。