発表前に開発中止になった21台のクルマ 前編

公開 : 2018.08.26 06:10  更新 : 2021.03.05 21:43

フォルクスワーゲンEA-48(1953年)

今日のシティカーの基礎となるレイアウトは、1959年に登場したオースチン・ミニにあると見なされるのは当然のことだ。しかし、この英国の小さな巨人を、フォルクスワーゲンが打倒していた可能性があった。1953年、ビートルの売れ行きが停滞していたのを受けて、このドイツの新興メーカーは600との仮称を与えたコンパクトモデルに着手した。それはランニングコストを抑え、小さなボディサイズながら室内を広く取る必要がある。プロトタイプのテストは1954年に始まった。

社内コードEA-48こと600(仮)は、ビートルとの共用パーツが極めて少なかった。モノコック構造で、フロントサスペンションはマクファーソン式。エンジンはフロントに積まれ、前輪を駆動する。エンジンは600cc水平対向2気筒・18psだが、これだけはビートル由来で、基本的にそのフラット4を半分に切ったものだ。

ハインツ・ノルトホフ社長がエンジニアに開発中止を命じたのは、1956年のこと。ビートルのセールスがいよいよ好調に転じ、今後を左右する大切な時期に、第2のモデルが水を差すことを恐れたためだ。

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