ヴォグゾールはどうなるのか PSA傘下、今後の展望は 新社長を取材
公開 : 2018.08.26 10:10
ノーマンのヴォグゾール再建5カ条
ノーマンの掲げる再建計画は5項目からなるが、これまでのヴォグゾールからは考えられない、簡潔ながらも非常に野心的なものになっている。かいつまんでご説明しよう。
●小型貨物車のシェアを現状の9%からかつての14-15%レベルまで伸ばし、フォードに次ぐ2位の座を確固なものとする。ラインアップも、新型ヴィヴァロを足がかりに3車種の少数精鋭で臨んでいく。取扱店は、50から75店舗の「商用車センター」に再編成する。
●利幅がなく販売台数の価値を損なう自社登録台数は、減らしていく方針だ。これは、クルマの商品価値が上がっていけば可能と考えられる。また、「どこよりも安く」というジョン・ルイス(英国の百貨店)のキャッチフレーズとは逆に、販売奨励金が必要なくなる程度に安売りを抑えなければならないとノーマンはいう。
●2020年までに現在330店舗のディーラー網を250店舗程度に再編し、1店舗あたりの年間販売台数を290から415台に上げる。これにより「劇的な」販売店の活性化をもたらすとノーマンは考える。再編が始まってから数カ月、きびしい非難にさらされるノーマンだが、「変えなければディーラー自体が害をこうむるんです」とその意志は強い。
●再編は部品供給体制にも及ぶ。英国全土に46の供給拠点をおき、ヴォグゾールやグループのプジョー/シトロエン/DSのみならず、他メーカーの部品も扱う。部品販売による収益が低下をたどる状況で、これもひとつの反撃といえる。
●ブランド力の強化も課題だ。すでに展開中の「トゥルー・ブリット」キャンペーンは、SUVをメインにすえた「キープ・カーム・アンド・キャリー・オン(『あわてず、さわがず、うろたえず』の意。第二次世界大戦直前に英国政府が国民にむけた宣伝ポスターからの引用)」に後を譲る予定だ。
「『なにか的に(-ish)』はやめて、『英国的に(British)』いこう」という趣旨のメッセージも使う見込みだ。英国の広告にはときに「〜的な(-ish)」という煮え切らないコピーが見られるが、「英国的に(British)」という語句に関しては前向きなイメージがあるというのが要点なのだろう。