マクラーレン・セナ 試乗 究極のロードリーガル・レースカー
公開 : 2018.08.27 10:40
濃縮されたマクラーレン・テイスト
パワーステアリングは油圧式ではないが、レスポンシブでスムーズ。極めて高い正確性とフィードバックがあり、現在存在する中でもベストといえるパワーステアリングだと思う。
低速コーナリングでは、マクラーレン・セナは720Sに似た印象を受けることは確か。ロータス2イレブンが、エリーゼのように感じられるのと一緒で、典型的なマクラーレンの特徴がそこにはある。鋭いターンイン。意のままにラインを狙える正確性。バンプなどでは柔軟でありながら、しっかりと抑えられたボディロール。そしてこれらは、軽量化によって一層濃密なものになっている。
マクラーレン・セナは、800psというパワーに目が行きがちだが、それ以上の様々な感銘を与えてくれる。パワーを取るか軽量化を取るか、という選択肢があった場合、コーナのたびに軽量化が良いと実感できる。しかし、マクラーレン540C以上のクルマなら、すべてのモデルで体感できる事実でもある。
目下、1日に2台のペースで生産されており、デリバリーも始まっている。今注文しても、既に遅いかもしれない。実際、マクラーレンは抽選を行ったようだ。
マクラーレンの他のモデルと近似した特徴のシャシーにトランスミッション、エンジンとハンドリングを持っていることに、引っかかるひともいるだろう。ライバルとなるスーパーカーメーカーに在籍していた重役が、こんな事をいっていた。
「同じ種類のソーセージを、いくつも売るわけには行きません。だから、ほかよりも10%だけ長くして、倍の値段をつけるのです」
彼は肉屋の経験はないが、意味することは理解できる。しかし、実際のマクラーレン・セナはこの言葉を覆していた。