比較テスト 新型ポルシェ・カイエン・ターボ vs レンジローバー・スポーツSVR
公開 : 2018.08.26 12:10
スーパーSUV対決です。新型が登場したポルシェ・カイエン・ターボに、最近フェイスリフトを受けたレンジローバー・スポーツSVRをぶつけてみました。すべてを兼ね備えた「全能」の2台ですが、思わぬところに違いがありました。
もくじ
ー 新型カイエン MLBプラットフォームがベース
ー スポーツSVR スペックは同等
ー アナログ式回転計 スポーツカーメーカーの証し
ー リラックスできるのはカイエン 速さはSVR
ー 驚愕のエンジンサウンド 最高のオールラウンドモデル
ー 2.3tのフィエスタST 両者の違いはただひとつ
ー テスト車のスペック
ー 番外編:ユーズド・スーパーSUV 5選
新型カイエン MLBプラットフォームがベース
さまざまな要素を「融合」したクルマづくりというコンセプトを掲げる自動車メーカーがいる。この明らかなマーケティング用語が、快適さと機敏さ、速さと経済性、さっそうとしたスタイリングと実用性といった、ユーザーが思いもしないような、相反するキャラクターを詰め込んだクルマ作りを指すのであれば、これほど便利な言葉はないだろう。
だが、新型ポルシェ・カイエン・ターボと、最近フェイスリフトを受けたばかりのレンジローバー・スポーツSVRはそうしたクルマではない。「融合」という言葉もこの2台を正しく表現できていない。この2台は、大型SUVのもつファミリーカーとしての実用性を最大限に活かしつつ、能力を徹底的に磨き上げられたモデルであり、「融合」ではなく「全能」のモデルなのだ。
実用的なファミリーカーでありながら、ラグジュアリーカーであり、スポーツカーでもある。そして、想像もできないようなオフロード性能を備え、想像以上の重量を牽引することもできる。走らせれば、ほとんどのGTクーペより速く、エアポートリムジンのようには見えないにもかかわらず、見事にパッセンジャーをもてなしてみせる。
もし、四輪駆動を必要とするようなモダンライフを送っているのなら(まさに今すぐわたしに必要なものだ)、この2台以上に相応しい存在はいない。カイエンのモデルチェンジを機に、レンジローバー・スポーツSVRとの比較試乗を思い付いたが、この新型カイエンが下敷きとするフォルクスワーゲングループのスチール&アルミニウム製MLBプラットフォームはますますその汎用性を高めており、同じプラットフォームを共有するモデルには、アウディQ7、ベントレー・ベンテイガ、ランボルギーニ・ウルスとフォルクスワーゲン・トゥアレグがある。
10万ポンド(1454万円)のプライスタグを掲げるトップモデルのターボは、4.0ℓV8ツインターボエンジンをフロントに積み、8速オートマティックギアボックスを介して四輪すべてを駆動させる。前後輪へのトルク伝達はクラッチによって遮断することも可能だ。エアサスペンションが標準となり、48Vのアクティブアンチロールバーシステムがオプション設定される。このシステムにより、ボディをフラットに保つか、より多くのホイールトラベルを許容するか、ドライバーの選択に応じてアンチロールバーの接続状態を瞬時に切り替えることができる。
550psのパワーを誇るエンジンは、1960rpmという低い回転域から78.4kg-mというトルクを発揮する。こうした結果、新型カイエンの乾燥重量は2175kgにも達するが、ハードウェアに関して、このクルマ以上に充実したモデルは限られている。