比較テスト 新型ポルシェ・カイエン・ターボ vs レンジローバー・スポーツSVR

公開 : 2018.08.26 12:10

2.3tのフィエスタST 両者の違いはただひとつ

しかし、実際はそうではない。ステアリングを切れば、ただちにコーナーへの情熱も露わに、フォード・フィエスタSTのようにフロントシートあたりを軸に旋回するように感じられるが、こちらのフィエスタSTは2.3tの重量と全高1803mmのボディをもち、最大渡河深度は850mmにも達している。

さらに、ボディコントロールもカイエンの上を行く。今回のテストルートには、サスペンションのストローク不足によって、カイエンではタイヤが一瞬浮き上がったように感じた見晴らしはいいものの、路面の荒れた太鼓橋があったが、同じ速度で突っ込んだSVRは、まるで滑るかのようにここを通過してみせた。

さらに、そのエンジンサウンドは魅力的で、実際、時には魅力的に過ぎると感じるほどだ。単にドライブモードで走り回っている時でさえ、カイエンでは聞くことのできない迫力あるサウンドを響かせる。そして、よりスポーティなモードを選択すれば、スロットルから右足を離すたび、まるでナポレオン戦争の大砲を再現したかのような爆音がリアからとどろくのだ。

楽しめる? もちろん。
うんざりする? もしかしたら。

しかし、最終的にこの2台を分けているのが、そのエンジンサウンドなのだ。パフォーマンスとその能力に差はない。価格、ボディサイズ、装備も同等であり、1700ℓ近い巨大なラゲッジサイズも同じようなものだ。ポルシェのほうが若干経済性に優れ、リアのレッグルームにアドバンテージがあるが、両者の違いはその程度だ。2台ともその与えられた目的を見事にこなしてみせる。

両者を分かつのは、ドライバーがその目的をどれだけ派手に達成したいと思うかだ。ポルシェを選ぶなら、洗練され、容易にその能力を引き出すことができる、磨き上げられた、恐らくは「優れた」モデルが欲しいということだろう。それでも、レンジローバー・スポーツSVRに乗ったドライバーがアクセル操作とともに、コーナーを走り抜けていくたび、それをうらやましいと思うに違いない。

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