英「アイスクリーム・バン」 ほぼ手作業、製作の裏側
公開 : 2018.09.02 11:40
コピー車を製造販売する輩も
エドはこう語る。「業界のひとから、コピーをつくる気でバンを買った客がいると内報があったのです。そうするうちに、ソーシャルメディアにバンの広告が出はじめました」
会社は知的財産権を専門とする弁護士に相談した。弁護士は偽バンの製造場所と、それらが模倣品である証拠をあつめた。一味がしでかしたことの大きさにエドも仰天したという。「彼らは偽のバンを30台、200万ポンド(2億8200万円)分も売っていたんですよ」
ウィットビー・モリソンにとってもたしかに損害はおおきかったが、同時にバンがいかに油断ならない代物かという懸念もあぶり出された。会社は模造団を相手に訴訟を起こして勝ち、だまされて偽のバンを買ってしまった客とは正規の架装をおこなうことで合意した。
「偽のバンからアイスクリームを買ってしまうようなことがあってはならないのです」とエドは語気を強める。「われわれ英国人には、アイスクリーム・バンに対して格別の思いがありますよね。バンは2週間しかない英国の夏(今年は例外だが)の風物詩ですし、アイスクリームを食べるのは癒しの体験といえます。それを汚すようなことは、決してあってはならないのです」
折悪しく、おろしたてのカルピジャーニ製マシンの「試運転」として出されたアイスクリームをここぞとばかり頬ばっていたわたしは、エドの熱い思いに賛同しようにもモゴモゴと口ごもるしかないのであった。