初代ホンダ・インサイトはなぜ英国で失敗したのか あらためて試乗
公開 : 2018.09.02 10:10
モーターにより低速トルクを補う
このような軽量化や空力性能の改善はとても賢いが、インサイトの一番の技術的特長は優れたガソリンハイブリッドのパワートレインである。その心臓は3気筒12バルブ995㏄のエンジンだ(米国と日本で人気のないディーゼルではなくガソリンである)。
可変バルブタイミング、SOHC、直噴、希薄燃焼設計のハイスワール燃焼室などにより、空燃比22:1で動作する。エンジン単体の出力は68psだが、小さな10kWブラシレスモーター(幅わずか60mmでクランクシャフト上にマウントされる)と組み合わせられると、最高出力は78psに増加する。それでも大したことはないが、モーターが一番効くのは低速トルクである。
ガソリンエンジン単独では4800rpmで9.3kg-mの最大トルクだが、モーターと組み合わせるとわずか1500rpmから11.5kg-mのトルクを稼ぎ出す。インサイトにはこれで十分である。0-97km/h加速は12秒、最高速度は素晴らしい空力性能のおかげで180km/hだ。とても立派な数値である。空力特性改善のため前面投影面積は小さく、くさび形のボディはトレッド幅の小さいリアをしっかりと包み込む。リアホイールはフロントと比べ55mm奥に引っ込んでいる。
ふたつのシートの後ろ、トランクスペースの下には、パワートレインの要となるニッケルメタルハイドライドのバッテリーがずらりと並んでいる。急加速時にはバッテリーは電動モーターを駆動するが、画期的なのは、このモーターはブレーキ時には発電機として働き、バッテリーを充電するのだ。