ミニ・ペースマン・クーパーSD ALL4
公開 : 2013.03.29 17:45 更新 : 2017.05.29 19:15
■どんなクルマ?
ミニ・ペースマンSD ALL4は、ミニの新しいクーペの中でも最も強力なディーゼル・エンジンを搭載した4WDモデルだ。以前われわれは、FWDの1.6ℓターボ・モデル、クーパーSと、トップ・モデルであるジョン・クーパー・ワークスの試乗を行なっているので、興味のある方はその記事もご覧頂きたい。
カントリーマンの3ドア・クーペ・モデルたるペースマンは、ミニの実質的な特徴であるエクストラ・スペースとファミリー・フレンドリーな部分を否定しているモデルともいうことができる。しかし、このクーペは、日産ジュークと言ったセグメントや、レンジローバー・イヴォークといったセグメント、あるいはフォルクスワーゲン・ゴルフ3ドアやシロッコからの顧客を取り込もうとしているとミニはコメントしている。
典型的なペースマンのバイヤーは、レギュラー・ミニよりもスポーティで、なおかつよりスペースのあるクルマを求めている層だというこができよう。
■どんな感じ?
スポーツ・アクティビティ・クーペとキャッチフレーズの付けられたペースマンは、カントリーマンと同じプラットフォームの上に形成される。従って、ミニとは名ばかりの大きさだ。
スタイルはイヴォークのようなテーパード・リアを特徴とする。ドアが2枚となり、傾斜したルーフのラインと、幅広なリア・フォルムは、カントリーマンに不足しているアグレッシブなスタンスを与えている。但し、決して上品な類ではないが。
とは言え、それがペースマンの大きな特徴であることは疑いもない事実で、一般的なクルマとは異なる立ち位置であることを堂々と宣言しているとも言える。
143bhp、31.1kg-mのパワー、トルクを持つ2.0ℓのディーゼル・ターボ・エンジンは、0-100km/hが9.2秒という数値をもたらす。適度で、ローエンドでレスポンスに優れるトルキーなエンジンだ。適度なスポーティさと、ロング・クルージングに最適な性格を兼ね備えたパワー・ユニットということができよう。
また、他のスポーツ・ミニと同様に、滑らかな道ではクーペのキャラクターにあったクイックでレスポンスに優れるハンドリングと、スムーズな乗り心地を提供してくれる。但し、プアな路面だと乗り心地は一転して不快なものとなる。もし、それが気に入らないのであれば、ダイナミック・サスペンションを選択しなければよい。それは、ノーコスト・オプションだ。
キャビンはDABラジオ、スポーツ・シート、エアコン、本革ステアリング・ホイール、ブルートゥース連携などが標準で装備されるもので、不足はない。また、リア・シートは、オプションで独立した2シーターを選ぶことができる。これにより完全な4シーターとなる。カントリーマンと比較すると4cmほど低い屋根にもかかわらず、リア・シートの居住性はよく、充分なヘッド・クリアランスとレッグ・スペースた保たれているのも意外といえば意外かもしれない。
ブート・スペースは350ℓで、カントリーマンとほぼ同じサイズ。これは、シロッコやジュークよりも大きく、3ドア・ゴルフよりもやや小さく、イヴォーク・クーペと較べると遥かに小さいというサイズだった。
■「買い」か?
ミニ・ペースマンSD ALL4は、経済性とパフォーマンスを見た場合、丁度スイート・スポットに収まるクルマだ。20.4km/ℓという良い燃費はガソリン・モデルと比べると大きな魅力だ。もし2WDモデルを選ぶなら、ボディ重量が75kg減り、燃費は21.7km/ℓまで向上する。
しかしペースマンは難しいポジションのモデルであることは間違いない。カントリーマンのフォーマットを持っているが、そのカントリーマンの最大の魅力である実用性を捨てているモデルなのだ。しかも価格はカントリーマンよりも700ポンド(10万円)高い。また、その価格もイヴォークよりは安いが、4WDのジュークよりは高い。
とは言え、昨年だけでも14,620台のペースマンが売れているということは、意外と強力なセールス・ポイントを持つモデルなのかもしれない。
(マット・バート)
ミニ・ペースマン・クーパーSD ALL4
価格 | 24,290ポンド(374万円) |
最高速度 | 196km/h |
0-100km/h加速 | 9.3秒 |
燃費 | 20.4km/ℓ |
CO2排出量 | 130g/km |
乾燥重量 | 1465kg |
エンジン | 直列4気筒1995ccターボ・ディーゼル |
最高出力 | 143bhp/4000rpm |
最大トルク | 31.1kg-m/1750-2750rpm |
ギアボックス | 6速マニュアル |