新型メルセデス-AMG Gクラス G63 英国試乗 世界観そのまま、マナー向上

公開 : 2018.09.04 10:10  更新 : 2018.09.05 09:46


都会派SUVとも渡り合える走り

その違いは、ステアリングホイールの適正な重さ、直進安定性とレスポンスの向上、優れた正確性など、先代モデルでは叶うことのなかった仕上がりで現れている。スピードが乗った状態でも、乗り心地やハンドリングの安定性は高まっているものの、反面、想像通りというべきか、都会派のアウディSQ7やポルシェカイエン・ターボのそれとは異なることも事実。

もちろんカイエン・ターボは、独立したサブフレームや後輪のリジッドアスクル、長いコイルスプリングなどを持っていないし、2m近い高さの直線的な屋根も背負っていない。これらを備えるG63の、コーナリング時における抑制が効いたボディロールやスムーズなノーズの動きは、充分に優れているといえる。

むしろ、ヘビーデューティーではないSUVとも比較できる、ハンドリングや乗り心地を得ているという点で、賞賛に値すると思う。さらにG63が積むV8は、オンロードで優れた性能を発揮するSUVに劣らない、高速走行すら味わわせてくれる。本格的なオフローダーとして、乗り心地やレスポンスが、アウディSQ7やポルシェ・カイエン・ターボを上回る必要もないとは思うけれど。

ただし、Gクラスの乗り心地は、ツギハギされた英国の道では、常に快適というわけではない。都市部を走行する場合、アダプティブダンパーのセッティングは柔らかめを選ぶことになるが、走行スピードによっては、ノーズのピッチングやボディ全体の上下動が大きすぎるきらいがある。ひと段階硬めを選ぶと、減衰力は明確に高くなるが、落ち着かない雑な乗り心地にってしまう。ただし、適正なドライビングモードとペースで走ることで、これらは改善できる。

安定性は高く、国をまたぐような長距離ドライブにも不足のない、魅力的で活気あふれたドライビングを楽しむことができる。自然の似合う、本物のドライバーズカーだといえるだろう。9速ATを手動で変速させれば、低回転域でも高回転域でも、V8エンジンの特徴的な部分を発揮させることもたやすい。必要以上のパワーに溢れたクルマを運転するという、ドラマチックさと不合理さも、堪能できるに違いない。

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