もやのかかるワインディング

ウェールズ北部の区間は、まあ散々だったとしかいえない。せっかくスノードニア高地のすばらしい道をできるだけ堪能しようと練りに練ったルート選択をしたというのに、あまりにさえない天気のおかげでぶち壊しになってしまったのだ。A55号線ですでに降っていた雨は山へむかうにつれいっそう酷くなり、デンビーからは低く立ちこめた雲の中へ上っていくかたちになった。

天気さえよければ、ペンターフォエラスまでのA543号線はヨーロッパいちの楽しい道といっても良いくらいだが、いまは50m先も見えないもやの中をこわごわと進むよりほかはない。あたりを覆い尽くす灰色がなければすばらしい景色でいっぱいだというのに。

まあ、それでもいい。ウェールズのすばらしい道を走っていることにかわりはないし、ニューポートまでとにかく早くたどり着くよりも自然を縫って走るほうが、より得るものは多いのだ。カーナビの指示のままB4518号線にはいってクラウエドグ貯水池を過ぎる頃には、明るい太陽が顔をだしてきた。この夏は記録的な猛暑が続くが、とくに水面がさがっているようにもみえない。

ちなみに1986年、英国空軍の「ダムバスターズのマーチ」をバックにウインチでダムをよじ登るランド・ローバー・ディフェンダーのCMがあったが、その撮影ロケ地がここだ。

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