お手頃ベストドライバーズカー選手権2018 2ndステージ ことしの覇者決定
公開 : 2018.09.09 07:40 更新 : 2021.03.05 21:37
本命登場? フィエスタST
フォードが新型フィエスタのフロントを先代STに移植しただけで、新型フィエスタSTの完成だといったとしても、十分に満足できたかも知れないほど、先代モデルを高く評価していた。
しかし、実際にはこの新型はさらに小排気量となったエンジンを積み、シャシーも全面的な見直しを受けている。
すでにこのモデルが非常に素晴らしい仕上がりだとはわかっているが、なかでも個人的に喜ばしいのは、このモデルの乗り心地とハンドリングが、まさに先代モデルそのままだということだ。
おそらく、低速で路面不整に出会った場合には、この新型モデルは先代ほどの堅牢性を感じさせてはくれず、ステアリングフィールにも多少の濁りがあるかも知れないが、この2台は基本的に同じフィールを共有している。
重要なのは、この新型もその車体中心を軸にしたヨーと、車体外側エッジに乗ったロールで、コーナー進入時にはこの上ないバランスを見せてくれるという点だ。新型フィエスタSTは完ぺきに同じ量のリーンとロールをみせ、そのステアリングは、まるでコーナーを駆け下っているか、グラベルを走行しているようにさえ感じさせる。
こうしてフィエスタを運転していると、究極のドライビングスキルを求める根源的な欲求が頭をもたげ、何物にも代えがたい興奮へと変わっていく。フィエスタSTのリア外側タイヤが沈み込み、コーナーへと進入していく様は、まるで完ぺきなスキーのカービングターンを見るようだ(わたしのスキーの腕前を考えれば、少なくとも、完ぺきなカービングターンとはそうであって欲しいと思う様なターンだ)。
マクラーレン675 LTやポルシェ・ケイマンGT4といったモデルが同じようなターンを見せたが、どちらも小さく、お手頃なハッチバックなどではなかったはずだ。
フォード・パフォーマンスが先代と新型フィエスタSTで示したのは、ドライバーズカーとは、あるレベルのパフォーマンスやグリップ、ボディコントロールを持っているだけでは、偉大なモデルにはなれないということだ。
重要なのは感覚であり、こうしたスペック表には表せないドライバーを掻き立てる刺激や活気こそ、われわれが残る3台にも期待するものだ。
だが、フィエスタSTも完ぺきではない。「3気筒エンジンには満足できなかった」というのはソーンダースだ。「先代モデルのトップエンドでの力強さが失われている。5000rpmも回せば、シフトアップしたくなるようなエンジンだ」