ジャガーXJ 一時代の両端 初代と現行モデルに試乗
公開 : 2018.09.16 11:40
次世代型XJへ
おかしな話だが、古いXJはV8(とV12)を搭載して発売されるはずだった。しかし製造の遅れによりこれがご破算になり、結局V12がXJ12としてデビューすることとなった。計画通りいっていれば、古い直6と同じようにV8はジャガーの技術的アイコンになっていただろう。
共通するものは何か? それは他と違おうとする勇気、態度だけだ。今のXJはデザイン的にクラスの標準に従おうとしないから、欧州のライバルたちと比べいつも端役に甘んじているのだという人も多いだろう。50年前、XJ6に大成功ももたらし、それまでのラインアップが細かく枝分かれしたビジネスを盤石なものにしたのは、まさしくこの他と違うという個性なのだ。
少なくともレイランドがなくなるまでは。しかし、現代のXJが失敗作などではないことは事実だ。今日では違っていることなど誰も望まないからである。それどころか、多くの人は4ドアセダンには見向きもせず、その代わり図体のデカいSUVを買いに行くのだ。1968年にはなかったことである。
わたしは現行型XJの特徴的なエクステリアや素晴らしいキャビンを名残惜しく思うだろう。その優れたバランスやスーパーチャージャー付エンジンも。わたしの考えでは、すべての世代のXJの中でこのクルマが勝てるのは初代のモデルだけだ。疑問の余地はない。
しかしXJの名前が今後も残るというのは朗報だ。後述する話からわかるように、次世代XJはこれまででもっとも野心的なモデルになるかもしれない。わたしにとっては素晴らしいことだ。外観や走りで時代の先を行かないようなXJなど、本当のXJではないのだから。