ここまできた牛乳配達車 ストリート・スクーターに試乗
公開 : 2018.09.16 16:10
ディーゼル車からの置き換え進む
もうひとつイアンがお気に入りなのが、ほとんど音を出さないことだ。「前のクルマは金属音がうるさくて、かならず犬を起こしてしまいました。いまでは配達にやってきたことすらわかりませんよ」
イアンが勤める食料品宅配会社のミルク&モアでは、英国初となる200台もの強力なストリートスクーターをそろえるにあたって、650万ポンド(9億3000万円)を投じたという。まだ残っているディーゼルの配達車も、すくなくとも都市部の配達にあたる分は追って置きかえていくという。燃料の軽油が電気におきかわって稼働コストが90%も減少するとあれば、文句のつけようがないだろう。
ストリートスクーターの最大航続距離は120kmとされる。イアンによると、1行程の50km弱を終えたところでバッテリーの残量はだいたい65%だという。古い電動配達車がたかだか40kmしか持たないのとは大違いだ。もちろん、ストリートスクーターのエネルギー回生装置も功を奏しているのは言うまでもない。
熱烈なモータースポーツファンのイアンも「KERSつきですよ? フォーミュラEみたいですね」と声をはずませる。
電気自動車のもっとも成功したひとつの例といえるストリートスクーターだが、つくったのは従来の自動車または商用車メーカーのいずれでもなく、なんとドイツの誇る物流企業の最大手DHLだ。