現実の選択 毎日使える1000万円級スポーツカー対決 後編 回顧録
公開 : 2018.09.22 16:10
スーパーカーらしいエヴォーラ
われわれは現地で一泊する予定で、ノーフォークの海岸を目指して東に向かった。カーナビの表示によれば、A11号線の南方にA12号線に向かってループを描くルートがあるようで、ここでクロスカントリーというのも悪くない選択だと考えたからだ。
今までの3台からエヴォーラに乗り換えると、低いドライビングポジションや狭い後方視界まで、乗り込んだ瞬間からスーパーカーらしさが十分に伝わってきた。インテリアの各部分もそれらしい仕上がりだ(計器類とダッシュボード全体の流れるようなアーキテクチャはわたしには実に見事に見えた)。
しかし、スコットランドでの発表会のときにすでに気づいていたように、エルゴノミクスの点ではいくつか惜しいところがあった。具体的な問題点としては、フロントウインドウへの写り込みが挙げられる。
また、右のアームレストがドアポケットに変な形で干渉しているのも問題だし、フォードに乗り慣れている人なら見覚えのあるスイッチにがっかりするかもしれない。エヴォーラは、今回の5台のなかでは見るからに少数生産車の雰囲気を漂わせており、それは裏を返せば製造面で妥協が多いという意味にもつながっている。
しかしそれと同時に、ロータスは特別なクルマだと感じさせることにも成功している。エヴォーラを運転するのは今回が初めてだったが、まず驚いたのが、エリーゼとはずいぶん違う雰囲気だった。単にボディが大型化しただけではなく、クルマそのものの成熟感も大幅に増していたのだ。