ランボルギーニ・ムルシエラゴSV vs シボレー・コルベットZR1 回顧録
公開 : 2018.09.17 11:40 更新 : 2018.09.18 20:19
価格差の正当性
Z06から相対的に計算すると約1400万円に達するZR1の価格は、コルベットとしてはかなり欲張った値付けに思えるかもしれない。だが、今回その隣に並ぶのは、4700万円のムルシエラゴSVなのだ。純然たる動力性能で僅差の接近戦になるであろうポテンシャルを考慮すると、実は史上希に見るバーゲンプライスだとわかる。
一方のムルシエラゴSVは、この種のスーパーカーのなかでも数少ない、すべての常識的価値観を完全に超越してしまった一台である。究極のクルマのそのまた究極のバージョンともなれば、コルベットの軽く3倍以上の価格もほとんど(まったくではない)問題にはならないだろう。
ムルシエラゴSVがランボルギーニの持てる技術力をすべて注ぎ込んだマシンであることに、疑問の余地はない。サンタアガタのエンジニアたちは自らのテクニックのすべてをこのクルマに、しかも可能な限り徹底的に投入した。ルーフとドアを除いたボディパネルはカーボンファイバーに置き換えられ、今なお偉大なエンジンとして賞賛の声が絶えない同社伝統のV12も、さらなる高みへと押し上げられているのである。
ただし、元の出力との比較では、向上幅自体は5%に満たない。だが、そのエンジンが載せられるのが予想をはるかに超える軽量化を達成したボディとなれば話は別だ。通常モデルのLP640から100kgも削り取られた車両重量によってSVの実質的な動力性能はすべての面で大幅に強化され、もはや別次元にあると言っていい。