ランボルギーニ・ムルシエラゴSV vs シボレー・コルベットZR1 回顧録

公開 : 2018.09.17 11:40  更新 : 2018.09.18 20:19

髪の毛が逆立つほどの加速

ステアリングは少々軽めで、非常にダイレクト感が強く、素晴らしく正確で、そしてなにより荒れた路面でもキックバックに悩まされたりするような場面がまったくない。舗装状態の良好な1級国道を軽く流してみれば、むしろとても洗練されたクルマだという印象を抱くだろう。

ところが、ストレートで右足に力を込めた瞬間に、世界は一変する。ウインドウ越しの風景すべてが一気に流れ始めるのだ。

SVがその本性を露わにするのは5500rpmを超えてからである。本来の凶暴性がむき出しになり、そこからレッドゾーンに達するまでにはほとんど心臓の1拍か2拍分くらいの時間しか要しない。

そして、あまりの集中力に襟足あたりの髪の毛が逆立ち始め、「ギアを1段上げてこの狂気の走りをキープし、地平線に向かって未知の領域に到達するまで加速を続けるか? それともすでにスピードメーターの針がとんでもない数字を示しているし、そろそろスロットルを戻してひと息つくべきか?」という決断を迫られるのだ。

もっともそれも、これから起こるさらにショッキングな体験からしてみれば、単なる前座でしかない。タイトコーナーから2速で可能な限りハードに立ち上がり、吹けきると同時に3速にシフトアップして、圧倒的に強烈なエグゾーストサウンドと腎臓が加速Gでシートにじんわり押しつけられていく感触を楽しんでいるその刹那、ふとルームミラーに目をやると、そこにはブルーのコルベットがいっぱいに映っているのだ──。

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