天空の玉座 エグゼクティブ・オープン・スポーツ対決 後編 回顧録

公開 : 2018.09.23 16:10

切れ味鋭いガヤルド

一方、ガヤルドの場合はすべてがその逆で、どこを取ってもドラマティックだ。そして、そこに本物の洗練が感じ取れるのもまた、間違いのない事実である。V10を8200rpmのクライマックスまで引っ張り上げて高速コーナーをハードにプッシュしていくとき、このクルマは最高の頼もしさを発揮する。

これこそがランボルギーニ流のスタビリティであろう。決して無駄に脈拍を高ぶらせるような振る舞いは見せない。路面にへこみや隆起に遭遇しても、あるいは突然ブレーキをかける必要に迫られたとしても、決してその均衡は破られない。

そして脱出時には四輪駆動ならではのトラクションにより、チューインガムを踏んだ靴底のようなグリップを発揮するのである。

さらに驚くべきはアジリティで、その機敏な動きはほかの2台とは完全に次元が違うというべきだろう。切れ味は鋭く、コーナーの中で向きを変えていく身のこなしには味わいがあり、そしてあらゆるコーナーを苦もなく飲み込んでいく。

残るDBSも、その気にさせる度合いでは負けてはいない。ほかの2台よりコンパクトに感じられるし(実際には全長も全幅も決してそうではないのだが)、昔ながらのスポーティなドライビングポジションには違和感がなく、エグゾーストサウンドは誘いかけるようで、シフトパドルはホイールスピンさせるような走りの真っ最中でも扱いやすい大きさである。

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