天空の玉座 エグゼクティブ・オープン・スポーツ対決 後編 回顧録
公開 : 2018.09.23 16:10
単純な比較は困難
また、各部のフィニッシュにも期待外れなところがあり、ガヤルドやGTCほど感動的とは言えなかった。これと同じくらいの体験なら価格帯が1ランク下のジャガーXKR、もしくは同じアストンのV8ヴァンテージ・ロードスターでも味わえるかもしれないとさえ思えるのだ。
それに比べたらガヤルドは、スピードとグリップ、それにアジリティとスタビリティにおいて、はるかに強烈な体験を与えてくれる。気分が盛り上がる刺激的なサウンドもいい。GTCほど仕上げは豪華ではないかもしれないが、ガヤルドはそれを補ってあまりある過激さと実力を持った、とても魅力に満ちたクルマだ。
GTCはクルマとしての実用性で優り、日常的に使える仕上がりになっている。いかにもベントレーらしい贅沢極まりない最高級のフィニッシュでまとめ上げられながら、同時にベントレーという車名から想像するような先入観をすべてひっくり返してしまう魔法のようなアジリティとパワーを備えているのである。
その魅力はガヤルドとはまるで別の方向を向いているので、どちらが優れていると単純に比べられるものではない。どちらも驚嘆に値する素晴らしいクルマである。そして、残念ながらDBSは、そうではなかったということだ。