最高にホットなBセグ・ハッチバックを探す 前編 回顧録
公開 : 2018.09.24 07:40
元気いっぱいのアバルト
ルーテシアの不可解なラジオの操作体系や、角度は調整できてもリーチが調整不能なステアリングに比べたら、エルゴノミクスにおけるフィエスタの優位性は動かしがたく、フォードはルノーよりも間違いなく優秀と言える。高速道路での乗り心地でもフォードが上回っているが、しかし6台中唯一の6速ギアのおかげで、最終的な結論としてはルノーの勝ちとしたい。
以上が第1ラウンドの結果だ。話を悪夢のような濃霧に戻そう。ほとんど視界ゼロの霧の中でも撮影をやり遂げなければならないカメラマンには同情の意を、形だけでも表したいほどだった。ところが、雲の下まで降りて撮影場所を探しているうちに、状況は一変した。家畜止めの柵や鉄条網が張り巡らされた牧場の敷地内に、試乗にも撮影にも絶好の道が見つかったのだ。
早速、アバルトを走らせる。トゥインゴもほぼ同等だが、このクルマの後席とトランクは6台中もっとも狭く、撮影機材一式を持ち込むだけの空間は確保されていない。だが、その代わりというわけでもないが、フロントシートはサポートがよく、ドライビングポジションもとても良好だ。加えて太めのステアリングホイールの感触もいい。
160psのエンジンは低回転域から元気いっぱいで、また電子制御でリミテッドスリップデフ的に働くTTC(Torque Transfer Control=トルク伝達制御)システムは、そのパワー/トルクをあますところなく路面に伝達していく。