スズキ・スイフトスポーツ

スイフトスポーツが昨年のこのイベントで最優秀グループに残れたのは、ラップタイムが並外れて速かったからではなく、ハンドリングが甘美なまでに優秀だったからだ。だから今回のスイフトにはさらなる仕事ぶりを期待していたし、得られたものはその一部でしかなかったとしても、少なくとも前回と変わらないものであった。

このクルマが見事なのは進入から脱出まで一貫して姿勢を乱さないコーナーの攻略能力であり、そこにアンバランスさはまったく存在しない。厳密に言えば、自然なコーナリングとはいえ確かに多少のアンダーステアは含まれているが、どんなに優れたホットハッチであってもそれは共通である。

それに、進入時にスロットルを軽く戻してやりさえすれば、程度の差こそあれスイフトでも打ち消すことは可能である。そうしてやるだけでスイフトのノーズは鮮やかにライン上へ復帰し、しかもその際、テールに緊張を強いるようなリアクションはまるで見られない。角度にしてわずか1〜2度ほどスロットルペダルを戻すだけで、すべては円満に完了するのである。

高速コーナーでの振る舞いも印象的だ。車重の軽さも手伝って、左右の切り返しでもまったく慣性を感じさせない。制動性能も見事で、ステアリングはなめらかであり、シャシーにはミルブルックの丘陵コースのバンプやジャンピングスポットを吸収してしまうしなやかさがある。

唯一の問題はエンジンだ。ほかのほとんどのクルマよりも耳障りでうるさく、しかもスロットルレスポンスは奇妙なほどソフトで、爆発的な力がまったく感じられない。これがもっと甘美な仕上がりだったならもう少し順位を上げられただろうが、アップダウンの連続するミルブルックのコースを前にしては、こんな平凡なパワープラントでは歯が立たないと結論づけざるを得ない。

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