幻のコンセプト「MGローバー75クーペ」 世に出ていたら? 再現車に試乗
公開 : 2018.11.11 16:10
双頭の75も自作
もともとロイドは、すくなくとも世間一般でいう自動車技師ではない。もっぱら建築、とくにオックスフォード周辺で建物の増築に多く携わった人物だ。
20年前に引退したあともじぶんで自宅家屋を建てたのだが、いちばん大変だった工程は「1日の作業が終わって、ビールが飲みたいのを我慢してセメントミキサーをしっかり洗うこと」だったそうだ。
しかしこのクーペを創りあげるのにくらべれば、自宅の建築などたいしたことではなかった。そもそもなぜ75だったのか? 答えは「頭ふたつのクルマをつくるときに、(うまくいかなかった場合を考えて)いちばん安く手に入ったのが75だったから」とのことだった。
もっとも、たとえその試みががらくたの山をこしらえただけに終わったとしても、そんなに痛手ではなかったとおもわれる。というのは、材料としてはじめて手元におくまで75のことなどまるで知らなかったというロイドも、次第にその造りの良さと行き届いた設計に気づいてきたからだ。
そしてローバー75&MG ZTクラブに入会した彼は、「もし○○だったら」というスレッドで、MGローバーが破綻寸前に発表した75クーペコンセプトについての話題を目にした。それこそが、彼のプロジェクトが生まれた瞬間だった。