BMWのパーツを流用

では、この75クーペをじっくり見てみよう。バッジこそローバーのものがついているが、ホイールの中心とトランクの「クーペ」バッジは古いP5Bから、パワートレインはMG ZT 190からの流用だ。

まず、ボディを切った貼ったするだけではもの足りないとおもったのか、小手調べとしてもともと4気筒1.8ℓターボの1.8Tとしてつくられた75にV6エンジンをはじめとするパワートレインとサスペンションを移植した。

しかしすぐさま、クーペとして使えそうなルーフとリアサイドウインドウやリアウインドウをさがす必要にせまられた。その作業についてロイドは「まず斜め後ろから見た理想の姿を頭に描いて、それに合わせてボディを造っていきました」と、そこらの板金屋も顔負けのセリフで述懐する。

ローバーは一時期BMWの傘下にあったが、皮肉なことにロイドが流用元にえらんだのはそのBMWの3シリーズ・クーペの部品だった。

ロイドは作業の苦労について「ローバーのルーフの幅は3シリーズより7.6cmも大きかったんです」と切りだしたが、それをはじめとして作業は難題だらけだった。Bピラーを後退させ、75のトランクリッドをBMWのリアウインドウに合うように調整し、天井の内張りのかたちを合わせ…。

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