トヨタ・スープラ・プロトタイプ初試乗 完成度90%、既にケイマンに肉薄
公開 : 2018.09.21 11:50 更新 : 2021.01.28 18:01
気持ち良いエンジンとパワーに勝るシャシー
もちろん、スープラにはスープラなりの楽しさもある。
エンジンは気持ちよくスムーズで、幅広い転域に渡ってレスポンシブ。しかも回りたがり。吸気音に関しては、まだ手を加えたいとトヨタの技術者は話していたが、人工的に車内に響かせるパイプなどを用いない、リアルなサウンドを狙っているのだろう。ケイマンとは異なり、追い越し場面などでの高回転域でのエンジン音は、すでに心地良い。スポーツモードでは、エグゾーストのフラップが開く。
加えてシャシーは明らかにパワーに勝っている。サーキットに出ると明確なのだが、スポーツモードの状態では、速度域が上がっても、一般道と同じバランスを示してくれる。サスペンションは優れたコントロール性を提供し、縁石やくぼみなどでの柔軟性も高い。BMW M2コンペティションなら底打ちするような場面でも、ケイマンのように、スープラはいなしてくれる。
コーナリングの俊敏さでは、ケイマンや、限られた記憶ながらアルピーヌA110ほどではないにしろ、エンジンの搭載位置はさほど関係ないということがわかる。
スタビリティコントロールは、完全なオフではなく、若干のスライドを許容する状態。ステアリングフィールは、情報量が豊富とはいえないもののスムーズで、アンダーステアに陥る感覚もわかりやすい。オーバーステアへ持ち込むことも難しくなく、機会が許せば深いドリフトアングルも決められそうだ。もちろん、トヨタの関係者が同乗しているから、今回のおふざけはほどほどにした。
わたしのお気に入りのハンドリングを備える、アストン マーティンV12ヴァンテージSやトヨタGT86などは、より生々しい感覚を持ってはいるが、スープラが披露してくれたバランスと共通すると感じた。