ロードテスト BMW M5 ★★★★★★★★★☆

公開 : 2018.09.30 11:40  更新 : 2018.10.01 15:25

先代では、英国編集部を失望させてしまったBMW M5。新型は4WDを装備し、その出来栄えが危惧されましたが、テスター陣はこれぞカテゴリートップだと大絶賛です。ただし、満点を与えるのはためらわされる、小さな落ち度はいくつかあったのですが。

もくじ

はじめに
意匠と技術
内装
走り
使い勝手
乗り味
購入と維持
スペック
結論

はじめに

長い歴史というものは、えてして波乱万丈だ。ドイツのスーパーサルーンの先駆けともいえるBMW M5の場合、これまでに5世代を数え、その歴史はほぼ35年間にわたる。その間には、レースに由来する、もしくは着想を得た直6やV10といったエンジン、また型破りなシーケンシャルトランスミッションを採用するなど、話題には事欠かなかった。しかし、今回ほど論議の的となる、もしくは確立された型から大きく逸れたことはない。今回のロードテストの対象である、F90世代の6代目M5ほどには。

Mディヴィジョンは、このスーパーサルーンをFRから4WDへ完全移行した。これはライバルであるメルセデスAMGへの対抗策という側面もあるが、北米の降雪地帯などでより優れた全天候性を求める需要に応えるのが主な理由だ。それにより、少し前ならMのプリフィックスを持つサルーンには与えられなかったテクノロジーを、このクルマは得ることとなった。

実際、生産終了からたった8年しか経っていないにもかかわらず、自然吸気V10を積んだ後輪駆動車であるE 60世代のM5は、甘くも遠い思い出となってしまった。ダウンサイジングした過給V8は先代のF10から導入されていたが、トルコンATと四輪駆動のドライブラインはM5初の試みである。これにより、2t近いクルマで全天候型の速さを実現しようという狙いだ。

ストレート以外では決して愛車の限界を試そうなどと考えないようなオーナーたちにとっては、とにかく速いことが競合モデルと比較した時にガレージに収めようと決断させる最大の材料となる。とはいえ、BMW Mの歴史を振り返れば、数十年にわたりスーパーサルーンのスタンダードであり続けたのは、ハンドリングのピュアさや運動性においてだった。はたして新型は、活力に欠ける先代が失ったこのカテゴリーでの優位性を取り戻せるのだろうか。

 

意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 使い勝手 ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論

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