「既成品」は嫌? ワンオフ車の世界 唯一無二のクルマに乗る5人
公開 : 2018.09.29 10:10
豆スーパーカー、ヴォグゾールVX220
入院中に注文したVX220
「頚椎を痛めて入院したときに、ベッドの上からVX220を注文したんですよ」とグレイム・ランバートは振り返って笑った。5年前、ロータス・エリーゼに乗っていた彼は、止まっているところに追突されてしまった。そんな目にあったら英国製のか弱いスポーツカーなどもうこれっきりとなりそうなものだが、彼の神経は筋金入りなのだ。
ランバートは事故の前にも、ヴォグゾールVX220ターボに乗っていた。「ちょこっとチューンして楽しみましたが、パワーの出かたがピーキーで走行会では思うように走れなかったので、次のクルマはスーパーチャージャーにしようと決めました」という。退院して何週もたたないうちに、作業に取りかかった。
「本当は、違うものが作りたかったのですが」とランバートはいい、『もっと全長が短くて、安く済むはずでした』と付け加えた。それでも、ノーマルのVX220ターボよりは速い、300psくらいのクルマにしたかったという。
とはいえ、かなりヤレのみえたベース車のエンジンでは高レベルのチューニングは無理があるとして、良いエンジンはないかと探し回った。そして2012年、根っからのサーブファンでもあるランバートは、そのサーブが破綻して負債の償却に大わらわの清算人から新品の4気筒エンジンを購入して、なじみの整備士に預けた。