「既成品」は嫌? ワンオフ車の世界 唯一無二のクルマに乗る5人
公開 : 2018.09.29 10:10
ニュルブルクリンク用兵器、2代目フォルクスワーゲン・ゴルフ
911GT3RS並みの速さ
「この路線でここまでくるとわかっていたら、始めに2代目ゴルフのCLは選ばなかったでしょうね」と語るのは、ナイジェル・ピンダー。2005年にはじめて訪れたニュルブルクリンクの虜になり、サーキット走行用に2代目ゴルフを買った。ある年の復活祭の日、サーキット用に仕上げたそのゴルフでノルドシュライフェ(北コース)を35周走ったが、36周めでクラッシュしてしまい廃車となってしまった。
何週間かたってほぼドンガラの2代目ゴルフを購入し、彼は再びスタートを切った。そしておよそ10年のあいだに、クルマは徐々に進化していった。というより、全くべつの生き物に変異したといったほうがいいかもしれない。
いまやエンジンはターボで武装して335ps。攻めたセッティングの多板クラッチ式LSDはもとより、機能本位のエアロパーツ、レース仕様のスリックタイヤにサスペンション(ばねレートはジャガーXE SVプロジェクト8の主任技術者デービッド・プック本人が設定した)も装備する。
ニュルブルクリンクでこの酔狂なゴルフと競争してみて、まちがいなくここではポルシェ911GT3RSなみに速いだろうと確信した。
「11年前に2台目のゴルフではじめてニュルを2,3周走ってみてそれなりに楽しかったんですが、『ブレーキは強化した方がいいかな』とも思ったんです。それがすべての始まりでした」とピンダーは回想する。