新型メルセデス-AMG GT 4ドアクーペ試乗 サイズは大柄、GTに相応しい走り
公開 : 2018.09.28 10:10 更新 : 2018.09.28 10:47
他の2tクラスには真似できない走り
GTという名前を持つ以上、このクルマの持つポテンシャルは4ドア化による利便性の向上以外にもある。それを確かめに、アメリカ・テキサス州オースティン郊外の、サーキット・オブ・ジ・アメリカズへとやってきた。ハミルトンやベッテル、リカルドなどが、来月バトルを繰り広げるであろう舞台でもある。
なにしろ一般道では、GT 4ドアクーペのダイナミクス性能は丸みを帯びて感じられ、GTスポーツカーというより、ずっと民主化されたクルマだったのだ。2ドアの兄弟となるGTよりも、エキサイティングさでは若干穏やかに感じられた。しかし、一度サーキットでステアリングを握れば、考えが改められる。4ドア版でも、エキサイティングなドライビングを求めるなら、思う存分味わうことができたのだから。
この大きさのボディを持ちながらも、俊敏な身のこなしやバランス、ボディコントロール性、懐の深さなどは、まるでひと回り小さなクルマに乗っているかのよう。ただし、このような感覚を味わえるクルマは他にもあるけれど。
卓越したグリップ力やブレーキング性能も素晴らしいが、BMW M5やポルシェ・パナメーラ・ターボなども肩を並べるレベルは持っている。しかし、GT 4ドアクーペのアクセルを深く踏み込んだ時や、自然な挙動でコーナーを抜けていく感覚は、他の2tクラスのクルマには真似できない水準にある。さらに、電子制御する神の手を知覚することが、ほとんどできないのだ。
この大柄のボディでコーナリングを甘美な味わいにするためには、タイヤ4本、すべてがしっかり仕事をする必要がある。もちろん、ハイスピードからのブレーキングも同様。そこには、サスペンション・セッティングの大幅な見直しやeデフの設定、駆動トルクの各タイヤへの配分、4輪操舵システムによる回転軸の最適化などが効いてくる。ライバルモデルなら、電子制御されていることに気づいてしまうか、あるいは隠そうと必要以上のアシストが働く場面だろう。