新型プジョー508 フランス巡る旅 フレンチサルーンへの愛は変わらず
公開 : 2018.10.06 10:10
舞台はフランス 旧国道508号線
クラストップの座へと返り咲いた新型508の登場は、ブランドを象徴するモデルである504から数えてちょうど半世紀後の出来事であり、多くの新たな基準を打ち立てることに成功している。
では、この素晴らしい瞬間をどうやって記念すべきだろう? しばらく考えた後、フランスで新型508をピックアップして、フランス南東部のアヌシーを起点に、この国で最も素晴らしい景観を抜けてふたつの山岳国立公園を繋いでいる、かつての国道508号線をドライブしてみることにした。
さらに、現在ではD1508と呼ばれているこのルートから足を延ばすには、ソショーにあるプジョーミュージアムは丁度よい距離にあった。ここは200年にわたるプジョーの歴史を展示するとともに、新型508の生産拠点であるミュルーズ工場にも隣接している。この工場では、他のモデルと共に新型508が採用するPSAグループのフレキシブル大型プラットフォームを用いた、柔軟な生産が可能となっている。
リヨンまでは空路で移動し、クルマをピックアップした後、アヌシー湖の東岸を南下して、旧508号線に途中から合流し、その最南東端となるジュネーブの真下に位置するユジーヌ近くまで向かう。その後、旧国道の最北西端まで129kmを走り、宿泊のためオーソンヌ近くのフラムランまで北上を続けると、翌日にはミュージアムとミュルーズ工場のあるソショーへ向かうため東へと進路を変え、バーゼル空港から帰路につくルートだ。
ロードテストを忘れて、新型508を故郷であるフランスで最初に運転すると、ふたつのことに驚かされる。最初の驚きはその小粋なルックスであり、スポーツカーを除けば、文字通り他のどんなモデルよりも車高が低いのだ。先代モデルと比べ6cm低く、8cm短く、そして100kgも軽量となっている。キャブフォーワードスクリーンとフレームレスのドアをもつ新型508は、洒落たクーペや使い勝手の良いエステートといったモデルのベースというよりも、それ自体が美しくなるようデザインされているという印象を与える。もちろん、新型508にもエステートは追加されるが、間違いなく美しいモデルになるだろう。
さらに、このモデルはドイツ製サルーンとは違うということにも気付くだろう。フォルクスワーゲンやヴォクゾール-オペルといったモデルの最近のダッシュボードデザインは、保守的な方向を志向しているようだが、これまでで最高の出来栄えをもつプジョーがiコックピットと呼ぶ新型508のキャビンでは、インフォテインメントシステムの合理的な操作が可能なピアノキーがその中心を埋め尽くし、完全にドイツ勢とは一線を画している。興味深いことに、恐らくプジョーの成功に触発されたのだろうが、フォルクスワーゲンも次世代モデルではこうした方向へと舵を切るようだ。