新型プジョー508 フランス巡る旅 フレンチサルーンへの愛は変わらず
公開 : 2018.10.06 10:10
カフェで大人気 他人も幸せに
アヌシーを後に旅を続けていると、街を行くひとびとからの視線に気付いた。クルマに詳しくなくても、新型508の低く流れるようなシルエットは、これまでのセダンとは違うという印象を与えるようだ。D1508で最北端のポイントへと向かう途中、ランチタイムにロードサイドのカフェで休憩していると、フランスでのこのクルマに対する注目度の高さが明らかとなった。
このカフェは毎日のように近隣の工場や農場で働くひとびとがランチにやってくる場所だった。埃っぽい駐車場に何台もピックアップトラックが入ってくると、新型508はこのクルマに興味を持つひとびとに囲まれることとなった。ドライバーズシートに座るよう勧めてみると、彼らは笑みを浮かべながら話しつつ、508の素晴らしい品質に納得した様子を見せた。新型508の存在を知っているだけでなく、そのスペックに関する彼らの知識には大いに驚かされたが、フレンチサルーンに対する変わらぬ想いにも心を打たれた。
友人からの電話で、この新型508を見るため、ひとくみの親子が6年落ちの先代508のディーゼルに乗って驚くほどのスピードでやってきた。道の反対側から縁石を乗り越え、われわれの508の横に慌ててクルマを停めると、他のひとびとと共に貴重なランチタイムの20分を使って新型508をチェックしながら、その横で写真に納まっていた。508のオーナーとして、この親子には特別な地位が与えられているようだったが、他のひとびと同様、彼らのこのクルマに対する評価も上々だった。ここには皮肉屋などいないのだ。
興味深くも有益な体験だった。大型サルーンが英国で注目を集めるようなことはないかも知れないが、われわれがカフェで経験したとおり、フランスではそうではない。すべてのルートを走りきり、いまやその価格を考えれば、最高のサルーンモデルの1台と言うべき新型508の洗練されたクルーズ性能と快適さを十分楽しんだ。
ソショーにあるミュージアムでは、プジョー黎明期のモデルたちが展示されていたが、やはり504は依然として特別な存在であり、さらには、508ワゴンを示唆しているであろう大胆なシューティングブレークのコンセプトも間近で見ることができた。
それでも、今回の旅における個人的な最高の思い出は、新型プジョーと同じ数字を持つ国道沿いで、われわれの508に乗り込んだ、ギャストンという名の興奮した様子の老人のことだろう。彼はコーヒーを飲みながら、新型508の装備とスペックに対するわたしのコメントを、まくし立てるようにフランス語で繰り返した。1台の新車がこんなにも誰かを楽しませることができるなんて、滅多にあるものじゃない。