ロードテスト フォルクスワーゲン・トゥアレグ ★★★★★★★☆☆☆

公開 : 2018.10.14 16:10  更新 : 2018.10.14 20:32

 

意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 使い勝手 ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論

走り ★★★★★★★☆☆☆

トゥアレグの走りに関して、明確な特徴の希薄さには、少々驚かされてしまった。やや力不足のパワートレインの影響で、ドライバビリティはライバルに及ばないといわざるを得ない。大きくゆったりとしたプレミアムSUVを好む、めったに急いで走らないような顧客にとっては、さほど気になることではないのかもしれないけれど。

また、フォルクスワーゲンは数多くのモデルとプラットフォームを共有していることも、忘れてはいけない要素。われわれが2015年にテストしたアウディQ7よりは、わずかにパワフルな3.0ℓのTDIディーゼルエンジンを搭載してはいるが、0-100km/h加速ではQ7よりも1秒も遅かった。

8速ATとトルセンデフによる4輪駆動システムは、特にクルマを急加速させる場合などで、反応に時間を要する。また砂地など、路面状況によってやや強めのパワーが欲しい場合などでも、深くアクセルペダルを踏み込んでから、キックダウンされるまでに幾分の躊躇がみられる。しかし、一度変速されれば数段一気に落ちるから、少しもたついても、活気あるパフォーマンスを得てはいる。

走行中のハーフスロットル時における加速は優れており、大型SUVに求めるような、品格のある余裕を感じることができる。加速時のタメに慣れてしまえば、ストップ・アンド・ゴーの多い都市部での流れをリードすることも難しくはない。また、重量物を牽引している場合や状況の悪い路面などでは、慎重な走り出しのほうが、むしろ適しているともいえる。

車内の遮音も優れており、われわれの計測では、ベンチマークとしたアウディQ7やボルボXC90よりも数デシベル低い数値を示した。荒れた舗装路での走行音は、ハミングのようにトゥアレグの車内に薄っすらと届くものの、煩わしいと感じさせる音量ではない。風切り音も非常に良く処理されているが、高速道路レベルのスピードになると、大きなドアミラー周辺からバタバタと音が発生していることには気づくだろう。

総合的には、フォルクスワーゲン・トゥアレグは、ラグジュアリーSUVというカテゴリーにおいて、優れた仕上がりを得ていると思う。パフォーマンス面での明確な欠点も、強く指摘するほどではないレベルだ。

テストコース

トゥアレグの場合、テストコースでのパフォーマンスより、限界付近での挙動や緊急時の安全性のほうが重要だといえる。プラットフォームで共通するポルシェランボルギーニなどと異なり、トゥアレグは積極的に運転に介入するというより、転倒しないような性格付けがなされているためだ。

実際、いつものミルブルックの丘のコースでは、かなり安定した走りを見せた。ドライビングモードをダイナミックモードに変更しても、コンフォートモードとハンドリングでは大きな差はみられない。スタビリティや安全性という視点では、スタビリティコントロールが介入する前まで、充分妥当な漸進性を伴う動きを示してくれる。そのため、あまりおせっかいには感じられない。

コース途中にある大きなコブシで、はずんだ時のボディコントロールは印象的なもの。エアサスペンションの面目躍如といえる。同じ円周を走り続ける定常円テストでは、アンダーステアがしっかり抑え込まれ、挙動は予想が付きやすい。また限界付近でも、ブレーキの効きも悪化はみられない。重量物を牽引しながら坂道を下る場面でも、心配することはなさそうだ。

発進加速

フォルクスワーゲン・トゥアレグ3.0 TDI Rライン・テック4モーション
テストトラック条件:ドライ/気温20℃
0-402m発進加速:15.5秒(到達速度:148.8km/h)
0-1000m発進加速:28.1秒(到達速度:191.1km/h)

アウディQ7 3.0TDI Sライン・クワトロ(2015)
テストトラック条件:ドライ路面/気温20℃
0-402m発進加速:14.9秒(到達速度:149.9km/h)
0-1000m発進加速:27.4秒(到達速度:191.3km/h)

制動距離


テスト条件:ドライ/気温20℃
97-0km/h制動時間:2.82秒


アウディQ7 3.0TDI Sライン・クワトロ(2015)
テスト条件:ドライ/気温20℃

 

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