最高に「ふつう」なクルマは? ファミリーハッチ決定戦 前編
公開 : 2018.10.13 10:10 更新 : 2021.03.05 21:36
9位:プジョー308
すべてのファミリーハッチバックを集めたら、その総数は20台ほどになっただろうことを考えれば、登場から4年目を迎えたプジョー308の9位という順位もさほど悪くはない。
特徴あるエンジンと、快適で豪華なインテリアに、見事なルックスを組み合わせた理想的なハッチバックとしてスタートラインについたものの、われわれの評価はハッキリしている。
では、かつての欧州カー・オブ・ザ・イヤー・カーに何が足りなかったのだろう?
簡単に言ってしまえば、期待外れの実用性と平均実燃費(別欄参照)、さらにはソフトで退屈なハンドリングが問題だった。
キャビンの広さに関して、308は今回集まったなかでは下から2番目のグループだった。ラゲッジスペース自体に問題はないかも知れないが、ラゲッジのためにキャビンスペースが犠牲にされているなど、認める訳にはいかない。
それでも、このクルマは古典的な欧州サイズのハッチバックであり、308ほどコンパクトなモデルは今回の参加車両にはなかった。では、このクルマにはさらに機敏なハンドリングを与えるべきだろうか? われわれはそう考えている。
驚くべき俊敏さも308の極めて表面的な部分でしか感じることができないからだ。プジョーお得意の小径ステアリングによって、308は駐車場ではひらひらと舞うようで、込み合った高速のジャンクションも軽やかにこなすが、高速コーナーでは、路面状況が掴み辛いオーバーアシスト気味のステアリングに手こずるとともに、大きなボディロールが、ハンドリングのバランスを実際よりも鈍重に感じさせ、グリップ限界でのアンダーステアを扱いづらくしている。
上級グレードが標準で装備するサスペンションと大径ホイールであれば、もう少し動力性能は改善されるかも知れないが、だとしても308の順位は変わらないだろう。