試乗 アウディeトロン・プロトタイプ EVらしからぬ隙のない走り
公開 : 2018.10.23 11:10 更新 : 2021.02.09 23:25
狙うは普通のクルマ
eトロンのデザインはアウディの文法に即しており、これはライバルとは正反対の方向性だ。たとえばライバルのジャガーIペースは意図的にジャガーの文法から離れ、過去のジャガーのモデルとは似ても似つかないデザインをしている。
インテリアも同様で、デジタルの計器類(いわゆる「バーチャルコクピット」)やツインスクリーンのインフォテインメントシステムはQ8をはじめとするほかのアウディモデルと共有されている。結果として物理ボタンはほとんど姿を消し、ハイテクで非常に整頓されたルックスを実現している。
アウディが挑戦的なEVをセダンではなくSUVとして発表したのにはいくつか理由がある。まず、もっとも販売台数が見込まれる中国や米国のような国では、SUVが一番売れるボディ形状であること。次に、大きな寸法と最低地上高のおかげで、デザイナーがキャビンスペースを犠牲にすることなく、かさばるバッテリーを配置できることなどだ。
結果として、4人の大人がヘッドルームやレッグルームを気にせず快適に過ごせるようになったばかりか、660ℓという家具を買っても運べるような積載能力を手に入れている。ボンネットの下に収まっているのはV6ではないため、フロントにもスペースがあると期待してしまいがちだ。しかし、アウディは充電用のケーブルが収まるくらいの小さなスペースしか確保していない。