グンペルトRGナタリー・フューエルセルEV ついにニュルで同乗試乗
公開 : 2018.10.25 06:10
ローラント・グンペルトが中国資本の後ろ盾を得て、メタノール燃料電池搭載の電動スーパーカーを生み出しました。この注目すべき最新モデルと、さっそくお近づきになるべく向かったドイツより、ディテール紹介とニュルでの同乗レポートをお届けします。
もくじ
ー 新生グンペルト発進へ
ー RGナタリーの詳細スペック
ー いよいよ初の同乗走行
ー アレクサンダー・クローゼ(アイウェイズ海外担当執行副社長)に訊く
新生グンペルト発進へ
ローラント・グンペルトの名を耳にして、クルマ好きが思い浮かべるのはレースマシンにナンバーをつけたようなハードコアマシン、アポロだろう。2009年には、ニュルブルクリンクで市販車最速タイムを叩き出したアレだ。しかし現在、そのころと状況は大きく変わっている。
ローラントは、この業界で長いキャリアを積んだベテランだ。かつては1980年代のアウディでラリー活動に携わり、のちにアウディ・スポーツ部門の総合ディレクターにまで登りつめた。2000年代半ばには独立し、自身のブランドを立ち上げる。はじめの数年間こそ順調だったが、状況は次第に悪化し2013年には経営破綻。新たな資本による買収を受け入れ、アポロ・オートモビルとして再出発を期するが、ローラントは2016年にこの新会社と袂を分かった。
それからほどなくして、ローラントは1990年代にアウディの中国での合弁事業で共に仕事をしたフー・チャンと協力関係を結ぶ。フーは中国のモビリティやテクノロジーを扱うスタートアップ企業、アイウェイズの社長で、ローラントにチーフ・プロダクト・オフィサーへの就任を要請したのだ。そこでの初仕事は、電動スーパースポーツのプロデュース。これは少量生産のロードカーであると同時に、FIAの競技車両規定への適合も目指した。
それから1年半。われわれはニュルブルクリンクで、まさにそのクルマの実走プロトタイプと対面している。開発期間は極めて短いが、そこに盛り込まれたテクノロジーは素晴らしいものがある。
RGナタリーという車名は、ローラントの娘にちなんだもの。中国の新興メーカーの作品としては突出した出来栄えを誇るEVスーパーカーだ。アイウェイズは資本金13億ポンド(約1950億円)以上という、スタートアップ企業の定義を拡大するであろうメーカーだが、極めて野心的という点では新興メーカーの例に漏れない。すでに中国には年産15万台以上のキャパシティを持つ工場を建設済みで、RGナタリーの開発はU5イオンと銘打った量産電動SUVともども完了している。