嵐のストレス　超高速走行も

小さな町を抜けてアウトバーンに乗っても雨は激しくなるばかりだ。フロントガラスにも路面にも雨水があふれ出し、ほとんど何も見えなくなる。われわれは60km/hほどのスピードでのろのろと進んでいたが、後ろからかなりの速度で追突される恐れがあるので、それ以上ゆっくりとは走れない。雨のカーテンに遮られて先は見えず、方向感覚も失われる。

しかし、とても有難いことに、600LTオリジナルのサーキット用タイヤはPゼロに交換されていた。ただ、このオールウエザータイヤでもしばしばアクアプレーンが起きる。経験したことがないくらいのストレスだったので、わたしはアウトバーンを降りて嵐が去るのを待つことにした。

幸いなことに、次の朝は快晴だった。われわれはミュンヘンからシュツットガルトへと西に進む。途中、道路が混雑する前に2回ほど274km/hまでスピードを上げてみた。昼頃にフランス国境を越えたが、オートルートはドイツのアウトバーンよりずっと空いていたので、厳格な制限速度はあるものの、ドライブはずっと快適だった。

何ごともなかったフランスでは、途中、ランスの古いピットの建物に立ち寄った。ブルース・マクラーレンはここでフォーミュラ１を5回戦い、1962年の選手権のかかっていないレースで優勝している。

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